父と合わない

父と気が合わない。

実際には気が合わないというより、私が勝手に彼の感覚や言動を受け入れられないだけなので、向こうが私をどう思っているかは分からない。

 

長風呂が好きで、自分で湯を張って一番に入った。湯につかってから10分後に父が来て、「寝てるのか?」と言った。寝てません。考え事をしていた。その10分後、今度は母が来て私の名前を呼んだ。寝てないよと返して、適当なタイミングで湯から上がって髪と体を洗った。洗っている間ずっと、ゆっくり湯にもつかることも出来ないのかこの家はと思っていた。私が風呂から出た音を聞きつけて母がやってきて「髪を乾かす前に一旦脱衣所から出て」と言った。母の声音で察したのは、父が私が風呂から出るのを待っていて、おそらく不機嫌でいるということ。心底嫌になった。それなら初めから「待ってるから早く出て」と言ってくれればよかった。寝てるの?と聞かれたから寝てねーよとしか思わなかった。協調性が無い私が悪いのか。そうかもしれない。この点に関しては私が悪いか。そうか。

今日は23時ごろ、先にお風呂に入るねと両親の前で言った。早く出ろよ、お前は明日休みでも俺は明日仕事があるんだからと言われた。苛立ちを隠していない声だった。気分が悪かった。じゃあシャワーで出るよと言ったら、はあ?と言われた。分かっている。自分の代わりに湯を張れという意味だったんだろう。

私が一番にゆっくりお湯につかりたくて自分で風呂の準備をしても、早く出ろとせっつかれるのに、じゃあお湯は張りませんからすぐ出ますねと言うと、それでも自分のために湯を張れと言われるのだ。理不尽だと思った。でも私は、シャワーを浴びたあと、湯を張った。自分はつからないのに。そうすることが小さな反抗の様な気がした。私が髪を乾かしているとき、母がやってきてお湯を入れようとして、私がすでに入れていたことに気付いて驚いてた。母の事も好きではないけれど、かわいそうだとも思った。父と私たち子どもの間でいつも板挟みにされている。私も彼女の様な母親になるのだろうかといつも思う。なりたくないけれど、なるのだと思う。

 

とにかく、父はそういう人間だ。

嫌いではないが、苦手だ。彼の考え方は好きではない。でも、父親だ。私をここまで育ててくれた恩がある。逆らえないし、逆らうつもりもあまりない。